FC2ブログ
  福岡海星女子学院高等学校 福岡海星女子学院附属小学校 福岡海星女子学院マリア幼稚園  

【小学校の校長室から】第8号 平成22年 7月15日 副校長 高木義則

体 験 と 安 全 

7月は第1週に低・中学年の夏季合宿が、そして第2週には高学年のSummer Campがありました。梅雨のこの時期としては奇跡に近い状況で、両行事ともお天気に恵まれ、ほとんどのプログラムを実施できました。
夏季合宿では2年生が1年生を、4年生が3年生をお世話するという本校独特の宿泊方式をとりました。まだ小さい2年生が1年生のことを一生懸命心配し、お世話する姿はとてもほほえましいものでした。もちろん小さなトラブルはあるのですが、宿泊し生活を共にすることにより、幼いながらも相手のことを思いやり、気遣う姿が育っていく過程を見ることは、とても嬉しいことです。広大な海浜公園を使っての中学年のウォークラリーでは、なかなか自然の家の近辺を離れられない慎重なグループや、道に迷いながらも思い切って遠くまで行こうとするグループなど子どもたちの個性が見える楽しいものでした。でも、全員、暑い中本当によく頑張りました。
1週間後のSummer Campでは、子ども達の成長の姿を見せつけられ、本当に感動しました。AC(アメリカの留学生)の人たちに本当に積極的に話かけていました。そんな子ども達の姿に心を打たれたのだと思いますが、2日目のお別れの際にはAC全員が本校の子ども達をほめ、別れを惜しんでくれました。Amazing(びっくりした)という言葉を連発し、子ども達を讃えてくれました。また、自然の家の先生の話を聞く態度、協力の態度、食堂のマナー、時間を守る等々 どれをとっても素晴らしい態度で過ごした3日間した。子ども達にとっても貴重な体験をした3日間だったわけですが、私にとっても一度も大きな声で指示を出したり、叱ったりせずに済んだ、本当にすがすがしい3日間の体験となりました。 私は、今回のような合宿、キャンプの際は、特に厳しく子ども達を指導してきました。それは、こんな理由があります。
教師になって初めて担任した3年生のクラスにU君がいました。おとなしく、でも私にいろいろと話しかけてくれるかわいい子でした。次の年には、私は他の学年の担任となりましたが、その年の夏休みの最初の登校日に、その悲報が届きました。彼は家族旅行で行ったホテルのプールで亡くなりました。そのホテルについてすぐ、家族でプールに入ることになり、まず彼の水着を購入し、次に妹の水着を選んでいたそうです。待ちきれなくなった彼は一人プールに入り…心臓麻痺だったそうです。その話を聞いた職員室で、私は涙が止まりませんでした。お葬儀に行かせていただき、お骨も拾わせていただきました。本当に小さなお骨で、また涙が止まりませんでした。お母様は「あの子があんまり行きたがったので、つい先に行かせてしまった。あの時、止めていれば…」と自分をせめられて、言葉もかけられませんでした。その時の姿は今も忘れられません。
幸いにしてその後の私の教師生活の中では、命にかかわるような、或いは子どもの将来に関わるような重大な事故は起こりませんでした。しかし一つ間違えば、というような怪我は数件ありました。安全に関してはことさら厳しく指導する私の心の根底には、20代の頃のあの悲しみとあのお母様の姿があるのだと思います。
 子ども達が体験を通して考えること、行動力を身につけることは、何にも代えがたい財産となります。でも、これらの体験活動は、ちょっと油断すると大きな怪我につながる、あるいは死につながるような事故になる危険性を含んでいます。記憶に新しいことでは、平成18年に流水プールの吸水口に吸い込まれるという痛ましい事故も起こっています。例年、多くの子ども達が水難事故にあいその尊い命を失っています。また、近年は環境異変による新しい危機もあります。先日行った海の中道にも「ヒョウモンダコ」という毒性の強い蛸の標本と注意を呼び掛けるポスターが貼ってありました。
来週からはいよいよ夏休みです。子ども達にとっては貴重な体験の数多くできる絶好の機会となります。一方で、自身で身を守ることを教える絶好の機会ともいえます。守るべきルールは守らせ、ダメなことはダメとしっかり言える大人でありたいと思います。そのためには、私たち大人も体験を重ね、学び続けて行かなければならないのでしょう。