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  福岡海星女子学院高等学校 福岡海星女子学院附属小学校 福岡海星女子学院マリア幼稚園  

【小学校の校長室から】第6号 平成22年6月15日 副校長 高木義則

 新 し い 風  ~理科~

本年度は理科の専科として中村智彦先生をお迎えしました。そして、海星に早速新しい風が吹き始めました。
理科教育は若い柿木先生とベテランの中村先生が協同で進めています。放課後、二人で花壇を耕し、肥料を入れたり、校外に水草を取りにいったりと、息もぴったりです。
五月には二人で採ってきたオタマジャクシが次々と蛙になりました。子ども達はオタマジャクシの尾がだんだんとなくなり、手足が出てくる様子を観察し、大騒ぎでした。なくなった、尻尾は切れてしまったのか、ひっこんでしまったのか、子ども達の意見が対立します。
また五月末には、お隣の鶴田小学校の校長先生にお願いし、私も含め三人でプールのヤゴを採らせていただきました。教頭先生、教務の先生にご案内いただき、プールの底を網でひとすくいすると一回に十数匹のヤゴが採れました。こうして百匹以上のヤゴを採集しました。公立学校では六月の初めにプール清掃をし、その後プール開きを行います。その際に濃い塩素系の薬剤を投入し、一度プールの藻を殺してから清掃します。ですから、プールのヤゴ達はそれまでの命です。鶴田小でもヤゴ採りを行ったそうですが、採られたヤゴ達はラッキーということになります。
こうして、命拾いした本校のヤゴ達は理科室の水槽に移されました。早速「これは、何というトンボですか?」などの質問攻めで中村先生も嬉しい悲鳴をあげていました。六月になると理科室から子ども達の歓声が聞こえてきました。覗いてみると、本校の水槽でトンボが羽化し、それを直に見た子ども達の驚きと、喜びの声でした。南の運動場からも歓声が聞こえます。これは、羽化したトンボをガイアの森に放している3年生たちの声でした。子ども達が、こんな風に生き物の成長を見つめ、「命」を感じる時を持つことはとても大切で素晴らしい事だなと思いました。
その他にも、理科室周辺では次々と環境が整ってきています。保護者後援会総会で校長先生が挨拶の中で紹介された奇妙な動物は、ウーパールーパーです。赤ちゃんをもらってきて育て始めたものですが、手足もしっかり生えそろい随分と大きくなりました。その他にも、ザリガニ、メダカ、川エビなど、子ども達が持ってきたものも含め、あっという間に充実してきました。動物だけではありません。先日は6年生の学習でセロリの根元を二つに割り、片方を赤い水に、もう片方を緑の水に浸けていました。これは、植物の中の水の通り道の学習ですが、一本のセロリの右半分が赤く染まり、左半分は緑の葉が何とも言えない緑色に染まっている姿は不思議なものでした。
 最初のオタマジャクシの尾の話ですが、私も昔同じような学習をしました。その時も、尾はトカゲのしっぽのように切れてしまった、や、脱皮していくうちになくなったなどの意見が出て、子ども達は自分の意見を証明するために必死に観察していた姿を思い出しました。このオタマジャクシの尾の話は、本校でも数年前に講演された、遺伝子工学の権威、村上和雄氏の著書にも書かれていました。
 ガン細胞は「おのがおのが」で増殖し、最後は自身の生きる母体である人間をも滅ぼしてしまう。それに対し、蛙の尾の細胞は、自身はその役割を終えると共に滅び、新しく手や足となる細胞を生み出す助けとなる。生命の遺伝子の中に「自分さえよかれ」というスイッチと「人のために」という両方のスイッチがあることはとても感慨深い事である  と・・・。
 考えてみますと、動物だけでなく植物も同じです。勿論人間もそうです。自身の体を痛めながらも子を産み、育てていく母親はその最たるものかもしれません。
 子ども達の驚きの声と歓声を聴きながら、そんなことをふと思い出し、そして考えてしまいます。