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  福岡海星女子学院高等学校 福岡海星女子学院附属小学校 福岡海星女子学院マリア幼稚園  

【小学校-校長室から】なぜ古文を学ぶの

校 長 山 田 耕 司

理科と古文
○ 朝日新聞の投稿欄に高校生が「将来役に立たない理科や古文をなぜ学ぶの」と書きました。その背景には現代文や英語等自らの将来に役立つと思える教科に特化して学びたいという願いがあります。大学受験に特化した勉強をしたいと訴えます。できれば青春も謳歌したいのです。それを読んだ多くの大人が「教養」の必要性を説き投稿しました。
〇 大学に入学しますと、一般的に教養課程で2年間過ごし、その後専門課程の学部で2年間過ごします。医学部・歯学部・獣医学部・薬学部等はさらに2年間を必要とします「教養」は、人格や品位などの人間性を豊かにするとともに人間社会で生きていく上で役に立つような、様々な分野にわたる幅広く深い知識を意味します。単に物事を知っているだけでは不十分で、人間性に結びつき、実際の社会で活用できる状態の知識になっている必要があります。「教養」は、特に人間性を豊かにするという観点から、創造力や心の豊かさなど人間性の発揮に関する古典を含む文学やそのほかの芸術などに対する理解も指します。
教養学部                    
 ○ 東京大学・埼玉大学・国際基督教大学等には教養学部があります。リベラル・アーツをコンセプトに教育研究を行う学部です。特定の学問の枠にとどまらずず、人文科学・社会科学・自然科学の幅広い領域を総合的・横断的に取り扱う「分野横断的な学際性」が特徴です。それにより「さまざまな学問分野のエッセンスから、自身の専門分野に関連した幅広い視野を身につけること」や「特定の専門分野に偏らない学識・視点・論理性を身につけること」を目的としていますリベラル・アーツはギリシャ・ローマ時代からルネサンスにかけて一般教養を目的とした音楽・数学・論理学等、諸学科を横断した学際的な学問です。勿論、理科・古文も入ります。                     
教養は必要です                    
○ ロンドンに勤務していた折、平成天皇皇后両陛下の英国訪問があり、そのエリザベス女王陛下答礼晩餐会に招待されました。事前に同席者名簿が宮内庁から大使館経由で渡されました。文化人グループ席(8名円卓)です。半数は英国人です。会話が必要ですので、準備をしました。日本の教育・日本食・黒澤映画・日本芸能を先ず日本語でノートにまとめ、英語に翻訳(日本人学校の英人教師のチェックを受け)し、次男を相手に会話の練習をしました。隣席は現天皇陛下の家庭教師(声楽家)の方でした。すぐに会話が途切れ長い沈黙が苦痛でした。その後英国人のホームパーティーに度々呼ばれる機会がありました。手持ちの料理(いなり寿司が人気)は家人にまかせ、会話のための事前準備に勤しみました。支えは持ち前の豊かな好奇心でした。
○ 高校の新教科には「探究」があります。「環境研究」「国際関係」「気候研究」「地域研究」・・・等
小・中学校の既存の教科の枠を越えた内容です。学び方も個人やグループによる課題解決・探究学習、ディベート等の対話的学習を体験します。このような「主体的・対話的で深い学び」を実現するためには、教養も体験も豊かで深くなければなりません。多角的多面的思考のためにも古文も理科も大切です。
進路と小学校の毎日
○ 本校卒業後のご家庭と本人の最大関心事は中学・高校・大学への進路選択です。そのために早い時期から準備をされているご家庭もあります。特に希望大学選択の際、受験科目は大きなポイントとなります。
進路は職業・就職のためのみではありません。同時に豊かな人生も送りたいものです。自然環境・人環境・心の平安がほどよい豊かさであることです。
 そこで本校では充実した子どもたちの学校生活を願いコロナ禍であってもできるだけ本校教育計画に沿った授業や学校行事を実施したいと思います。水泳教室・6年生修学旅行・愛校バザー・FSD(運動会)・クリスマス会・学芸会・・・等。低学年のために「科学のひろば」や「ことばの教室」も実践している海星の教育をさらに磨き上げていきたいと思います。