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  福岡海星女子学院高等学校 福岡海星女子学院附属小学校 福岡海星女子学院マリア幼稚園  

【小学校-校長室から】民主主義の国ニッポン

校長 山田 耕司

民主主義と社会科
○ アメリカの大統領選挙をめぐる一連の動きは民主主義について熟考させられました。バイデン新大統領はその就任式で旧約聖書詩編30章6節を引用し、Biblesays weeping may endure for a night but joy cometh in the morning.(夕べは涙のうちに過ごしても朝には喜びの歌がある)と唱えました。バイデン氏はコロナ禍の今、民主主義と権威主義の選択に揺れるアメリカで苦難のうちにかじ取りを託されました。  From division to unity (分断から結束へ)が、key wordだそうです。演説の中では「民主主義」が11回使われました。これは対岸の火事ではありません。ニッポンも同じ課題を共有します。
○ 75年前日本は新しい国づくりに向かって歩み始めました。明治以降数回の戦争を乗り越え、「国民の国民による国民のための社会をつくる」民主主義国家を目指すことになりました。そして、その基盤である市民育成のため学校教育に「社会科」を創設しました。小学校・中学校社会科教育は民主主義教育の要として期待されました。
小学校6年生社会科を学ぶ
○ 小学校最終学年6年生の社会科では、日本の政治と歴史、世界の国々との関係について学習します。
国や県・市の政治はどんな考え方にもとづき、どのように進められているのか、歴史上の人物のどのようなはたらきによって今の世の中がつくられてきたのか、日本は世界の国々とどのような関係をもっているのかなどを探求していきます。
○ これは、日本の世の中の今を、過去にさかのぼり、未来や世界にも目を向けて、広い視野から深く考える学習になります。今の社会のしくみやその基本となっているきまりは何か、それらはどのような歴史をへて形づくられてきたのか、日本は世界の国々とどんな関係にあり、世界の国々から何を期待されているのかなどを考えていく学習を主体的に展開します。その過程で先生や友だち・人々の支援を受け知識・思考・能力・態度・行動を醸成していきます。
この社会科学習を体験しますと、子どもたちは社会生活の基本となっているきまりやしくみ、今の世の中へと発展してきた日本の歩み、世界の国々との関係などについて、より広く、深く考えることできるようになります。そして、日本に暮らす国民、ひととして自覚が芽生え、政治や社会に参加し、共に課題を解決していくことが期待されます。
欧米にみる民主主義
○ 少子化・高齢化が進む中、欧米に倣って若者の政治参加を求めて2016年から18歳の選挙権が導入されました。国や社会は主体的に政治を担う若者が増えてほしいと願います。しかし、投票率には一向反映されません。高校での「主権者教育」(シチズンシップ教育)が叫ばれるばかりです。彼らには小学校の時からの主体的に学ぶ社会科教育が不十分だったのでしょうか?
○ 本年より大学入試制度の改変が行われました。
欧米では日本のように定期テストがある国は殆どありません。大学入学資格試験が記述式・面接式であるため、高校生は自分の解答に至る考えを論理的に説明する学び(訓練)を重ねています。大学受験者の数が異常に多い日本式の知識の量を問う試験とは異なります。自分で課題を見つけ出し、解決していく力が求められます。ここでは小学校からの主体的課題解決学習の体験が生きてきます。塾や机上だけでの「暗記したことを解答用紙に書く知識偏重型の日本のテストのあり方は国際社会では通用しない」と千代田区麹町中学校の校長は指摘します。
○ 現在もっと人間性を豊かにする教育を文科省は目指します。それには先ず教育環境の保証です。子どもが子どもらしくのびのびと育ち自分を発見し見つめ醸成できる学校です。次に教師が自らの教育力を向上させる学校研究の必然です。まさに「教育は人なり」。そんな学校に民主主義に生きる子どもたちが育ちます。