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  福岡海星女子学院高等学校 福岡海星女子学院附属小学校 福岡海星女子学院マリア幼稚園  

【高校-学校長より生徒へのメッセージ】「選び直し」 6月3日

 「選び直し」   
                         校長  古賀 誠子

6月になりました。本格的に授業が始まって、みなさんの元気な声が聞こえます。
段階的な再開ではありますが、部活動も始まり、体育館やグラウンド、アシジハウスにもみなさんの笑顔が戻ってきたことを喜んでいます。コロナウイルス感染への恐れを失わず、安全に学校生活を続けていくことができるよう、みなさんが新しい生活様式のルールを守っていきましょう。
                        
4月26日から28日までの聖母月の朝礼で、シスター入江が話されました。シスターはこれをマリア様の「選び直し」とおっしゃいました。マリア様は、この時、みなさんと同じくらいの年齢であったと言われています。ヨセフという許嫁がありながら、天使ガブリエルのお告げを受け、あなたは神の子を身ごもりますと言われます。もう一度、現実的に、自分のこととして考えてみましょう。まもなく自分は、平凡で幸せな家庭を築いていく予定であった、しかし、突然、描いていた自分の未来予想図とは全く違う方向に進むようにとお告げを受けます。あなたならどうしますか。あまりにも責任が重たく感じ、とても自分にはできないと逃げるかもしれません、言い訳するかもしれません、あるいは、進んでしまった後に、「本当はこんなはずではなかった」と言って、人のせいにするのかもしれません。それはよくある普通の反応のように思えます。また、視点を変えてみると、それは人間が抱えている克服しがたい「弱さ」であるとも思えます。先日、シスター入江にお会いした時に、私はこう聞いてみました。「シスター、マリア様は選んだ後に、全く迷いはなかったのでしょうか、この道はやっぱり間違ってと思われなかったのでしょうか」とお尋ねしました。シスターは「それはあったでしょうね」とおっしゃいました。マリア様は、呼びかけを自分の使命として受け入れられた。ご自分で覚悟を決めて行った積極的選びです。強い方であったと学びます。そして、このあと続くイエス様の苦難にも寄り添い、イエス様が十字架につけられ、息を引き取られるまで、つまり最後まで共に歩まれたのです。そして、その方が、聖書のなかで、「恵まれた方」と書かれています。
天使ガブリエルが、ガリラヤのマリア様のところにきて、受胎告知(ルカによる福音書1:26―37)の中で、「あなたの親族のエリザベトも、年を取っているが、「男の子を身ごもっている」と聞かされます。マリア様は、大急ぎでユダの町に住むエリザベトを訪問し、エリザベトとの会話を通して、神の選びの不思議、小さく貧しい娘に心をかけてくださった神の恩寵のすばらしさに感動し、聖霊に促され、ご自身で「マリアの賛歌」を謳われたと聖書に書かれています。2,3年生の皆さんは、聴き覚えがあることでしょう。1年生のみなさん、これは、これからよく耳にします。意味をよくかみしめながら、読んでください。今日はみなさんと一緒に、聖書を開いて、読みたいと思います。私は、読んだ箇所には印をつけることにしています。10年後、20年後、30年後、生き方に悩んだ時、困難に遭遇した時、自分を支えてくれるからです。

マリアの賛歌

私の魂は主をあがめ、
私の霊は救い主なる神を喜びたたえます。
身分の低い、この主のはしためにも、目を留めてくださったからです。
今から後、いつの世の人も、わたしを幸いな女というでしょう。
力ある方が、わたしに偉大なことをなさいましたから。
その御名は尊く、
その憐みは、代々に限りなく
主を畏れる者に及びます。
主はその腕で力を振るい、
思いあがるものを打ち散らし、
権力あるものをその座から引き下ろし、
身分の低いものを高く上げ、
飢えた人を良いもので満たし、
富める者を空腹のまま追い返されます。
その僕(しもべ)イスラエルを受け入れて、
哀れみをお忘れになりません。
わたしたちの先祖におっしゃったとおり、
アブラハムとその子孫に対してとこしえに。 
(ルカによる福音書 1:46-56)

皆さんが書いてくれた振り返りの中に、このような言葉がありました。
「決断は使命なのだと思った。」1年生が書いてくれた振り返りです、とてもすばらしい気づきだと思います。
まさに、その通りです。私たち、一人一人には、神様から与えられた使命があります、それは言い換えるとあなたがこの世の中で果たさなければならない責任です。
コロナウイルス感染症のために、世界中で40万人の方が亡くなりました。慎んで哀悼の意を表します。
自らも感染の危険があると分かりながら、病に苦しむ人々のために毎日、治療と看護にあたってくださる医療従事者の方々、そして、緊急事態宣言の中でも、人々の日常の糧が守られ、安全な環境で生活できるようにと毎日仕事に出かけてくださるEssential Workers(またはKey Workers)の方々に心から感謝の意を表します。そして、学校の先生、もちろん本校の先生方も、Essential Workersの一人です。生き方に謙虚に学びたいと思います。
海星の生徒の皆さんは、いつも目を覚まし、耳を研ぎ澄まし、神様からの「よびかけ」を感じることができます。貧困、格差、紛争、世界の様々な課題に対する神様からの「よびかけ」に、自らの「選び直し」をもって、「はい」と応えられる強い人になります。また、あなたがた一人一人がそれを実行することで、世界は平和と自由、そして希望に満ち溢れるものへと造りかえられていきます。自分の物差しではなく、神の国の物差しで、物事をはかりながら、隣人に寄り添うことができますように、今日も、何事においても、喜んで自分を差し出すことができますように、それが海星の生徒です。
よい一日をお過ごしください。