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  福岡海星女子学院高等学校 福岡海星女子学院附属小学校 福岡海星女子学院マリア幼稚園  

【小学校の校長室から】子どもたちに伝えてほしい 校長 山田 耕司

○ 2019年12月上旬、全国の私立小学校の校長先生方の研修会がありました。3人の専門家の先生から子どもたちへの伝言を預かってきましたので、「地の塩」を通してお伝えします。海洋生態系学者野村英明先生、JAXA宇宙航空開発研究者木部勢至朗先生、童話作家角野栄子さん。冬休みに入る前にどうぞご家庭で共有して頂きたいと願います

○ 海洋生態系学者野村先生の話です。
 海洋プラスチックごみが地球環境上大きな課題です。汚染が最も進んでいるのは北半球のアジアの海です。ごみの1/3がここにあります。2026年には4倍になります。海流によってごみは拡散されます。海には生命の連鎖があり、より大きいものが小さいものを食う世界です。最微小生物は植物プランクトンです。このプランクトンは陸上植物とほぼ同じの400~500億トンの炭素を吸収します。
 科学にもっと興味をもってください。自分の考えで一度考え納得することで自分の知識になります。何事にもモニタリングが大切です。メディア情報はショッキングなものばかりに集中しがちです。注意し、深く読み解くことが大切です。科学は人が作ったものだから間違うことがあります。自分で考え科学的な情報を整理し知識基盤をつくること。人の意見を聴くこと、自分の考えを見直すこと。どれも欠かせません。

○ JAXAの木部先生の話です。
 人類はなぜ宇宙開発を行うのでしょうか?
人工衛星や宇宙ステーションから見ると空気がないので星がよく見えます。天文観測・通信・放送・GPSに効果的に利用できます。宇宙環境は微小重力・高真空・高密度太陽エネルギーです。これを利用して地上の生活に役に立つことを目指しています。宇宙で太陽光発電もできます。
 人間には「何があるか探検する」DNAが刷り込まれています。大航海時代も人類の活動領域拡大のために探検がさかんに行われました。人間は人類や地球の「来し方、行く末」を明らかにしたいと思っています。生命の起源・宇宙や太陽系の起源・地球外生命体の探索。月の資源を地球に持ち帰り使いたいとも思っています。
  もう一つあります。ある規模の「人類のCommunity」が宇宙に存在するようになった時、多民族・異文化の人々がつくる、国境のない新しいCommunityとはどのようなものになるのだろう?そこではどんな文化が花開くのだろうか?それを見る地球に暮らす人々は、国境・宗教・思想などにより対立し戦い続けているのであろうか?宇宙開発は人類の大きな「営み」を可能とする手段を提供します。

○ 国際アンデルセン賞2018受賞の角野栄子さんは「魔女の宅急便」で著名な日本を代表する童話作家です。
「子どもが幼いときに良質の物語に出会うことがどんなに大切か」を話します。現在鎌倉で100人の子どもを対象に定期読書会を開いております。私は母が早世したので父子家庭で育ちました。戦時中本のない時代、父が3人の子に語る物語を楽しみに成長しました。すべての人が物語を読むところから人生は出発しています。ある時文科省の会合で「児童文学作品を100冊読んでいる人を教員に採用して下さい」と発言しました。「本を読む子どもたちが少なくなった」と言われますが、子どもは本を読む素敵な大人に出会っていないのです。今思えば父の語る口調のリズムが角野栄子の文章のリズムになっています。父の言葉が音が私の中に蓄積されています。若い頃2年ほどブラジルに移民をしていました。私の言葉・文化の先生は安アパートに同居する9歳のスペイン系の男の子でした。町中を案内してもらいながら言葉を表現を文化を習い(倣い)ました。音を大事にしないとCommunicationは成り立ちません。伝わりません。
小1のとき、声を出して教科書を読んでいたら父から誉められした。「いいねえ」。自分で最後まで読まなければ「読書」ではありません。好きな本は見つかりません。「読み聞かせ」を豊かに体験し「読書」にのめり込む、楽しい人生を経験して下さい。

○ 私は「おはなしやさん」と「海星100冊」の教育活動をすすめる福岡海星小学校の応援歌を頂いた気分でした。
「科学者はなぜ神を信じるのか」理論物理学者にしてカトリックの聖職者(助祭)である三田一郎博士の著書(講談社)のタイトルです。科学者だって空想することは必要です。目に見えない結果を想像できるから実現しようと思います。詩人や作家なら不可欠でしょう。目に見えないものを信じるという力は、人間が生き延びるための基本的な力です。
 海星っ子の皆さん、クリスマス・年末・年始・お正月、素敵な充実した冬休みを過ごしてくださいね!