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  福岡海星女子学院高等学校 福岡海星女子学院附属小学校 福岡海星女子学院マリア幼稚園  

【小学校の校長室から】食・味覚・食育 校長 山田 耕司

○ 「お餅いくつ食べたあ」昔は始業式の日にこんな会話が飛び交いました。お餅が特別のもでなくなり、洋食が主流の時代です。「お年玉いくらもらった」の方が子どもたちに関心事でしょうか?

新年明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。


○ 暮れに全国の校長が集まる研修会に出席しました。日本のフランス料理界を代表する オーナーシェフ 三國 清三さんの興味深いお話を聴きました。
テーマは「食・食育」です。今年の最初の「地の塩」はご一緒に「食」「味覚」について考えて参りましょう。

○ 三國さんは北海道西岸の留萌支庁増毛町の半農半漁の家庭に7人兄弟の三男として生まれます。10歳で漁師の父と小船に乗って沿岸漁に出るようになりました。増毛町は明治時代にはにしんの漁場として栄えました。また高倉健主演映画「駅ステーション」のロケ地としても有名です。

○ 海が荒れて漁に出れない日には、三國少年は海岸を歩いて「ホヤ」を拾い空腹を満たしました。「ホヤ」は九州ではあまり馴染みがありませんが、東日本では珍味として重用される海産動物です。刺身やキムチの材料にも用いられます。皮を裂くと黄色い身が出てきます。最初はしょっぱい塩味、次に辛味、酸味、そして甘味を感じます。三國少年はこのホヤで、味の体験(四味)を醸成したそうです。

○ 中学卒業後15歳で就職、夜間の料理学校に通い札幌のホテルに勤めます。その後帝国ホテルの村上総料理長の下で修行し、20歳で駐スイス大使館の料理長に推挙されます。その後フランスでフレディ・ジラルデの下、続いて4つの三ツ星レストランで修行を重ね、帰国後は31歳でオーナーシェフとなります。

○ 子どもの非行問題への悩みは、洋の東西に違いはありません。
「味覚は心と気持ちを豊かにする」
「食」を大切にするフランスやイタリアでは、早くから子どもの心と食の関係に注目し、取り組みが始まりました。「12歳まで味覚を体験されていない子どもが、大人になって虐待をする」(イタリア)。
フランスでは1990年代より「子どもの味覚を守る」ため、10月の第3週を「味覚の週間」とし、三ツ星レストランの料理長を中心に催し物を行っています。日本でも2000年から三國さんを中心にシェフたちの取り組みが始まりました。

○ 日本の味覚は四味に「うま味」(昆布のグルタミン酸・鰹節のイノシン酸・椎茸のグアニル酸)を加えて五味です。空前の世界的和食ブームはこの「うま味」にあります。三國さんはフレンチに和食のよさを注入します。五味が五感を刺激します。そして思いやりが育ちます。人間は12歳の舌が味蕾が最大です。ですから0歳~12歳の間に味の体験をさせることが大切です。

○ そこで、三國さんは8年前から小学校4年生を対象に学校を巡って「ミクニレッスン」を始めました。このレッスンは1年間12日からなっています。
①*五味体験②正しいマナー(箸の持ち方・背筋の姿勢) ③命と食事④*東京野菜(100種・地産食材)⑤秋の種まき⑥調理実習の予習⑦*調理実習(ハンバーグ)⑧藤野真紀子先生のお菓子ってなんだろう?⑨和食とフランス料理⑩*正しい出汁を味わう!(うま味)⑪おいしさと栄養素につて⑫*修了式(ミクニランチ給食)*印は父母参加
この体験を家庭で実行してもらうのが目的です。「食」に対する意識を変える。父親の意識を変える。食のマナーと味への関心を喚起するのです。父親が「食」に積極的になることが子どもを変えます。日本を変えます。

○ コンビニ、インスタント、惣菜、朝食レスに子どもの味覚が遅滞します。沈黙する子ども、籠もる子どもが増加の一途です。三國さんの活動は、「食育」は家庭の復活、家族の再生と導きます。新年にあたり、ご家族で新たな「食」を始められては如何でしょう。