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【小学校の校長室から】反抗期は脳の発達段階のサイン 【校長 山田耕司】

反抗期は脳の発達段階のサイン

○ 最近テレビのコメンテーターとしてよく登場される中野信子さんの怜悧な眼光や発言が少し気にかかり、著書に目を通しました。東大とフランスの研究所で勤しまれた脳科学者の中野さんが思春期心理と脳の発達段階を関係付けて、子どもの行動の背景を解き明かしている部分に興味を持ちました。

○ 最近の文部科学省が出す学習指導要領や通達には、「共感性」「合理性」「意思決定」「社会性」「コミュニケーション」「価値観の多様性」「適応性」「判断力」の教育用語が多くみられます。これは、従来の伝統的な閉鎖社会(島国独特の文化)の教育から、積極的にグローバル化時代の教育に転換するための施策の現れです。知識の量を尊重する教育から知識の活用を尊重する教育への転換とも言えましょう。

○ 思春期は個人差はありますが小学校の中学年頃から始まります。子どもから大人への変化を歩む時期です。最初は身体的にそして脳の発達へとだんだんに進みます。脳の発達の終焉は25歳頃と言われます。特に、知識の活用を促す「共感性」(思いやり)や「意思決定」「社会性」(社会的な行動)を司る機能は、成熟が遅く思春期から25歳の間につくられるそうです。小学校の中学年頃から、多様な環境の中で、様々の体験をくり返しくり返し味わっていきながら身についていくものです。それは、大まかに3つあるようです。

① 眼窩前頭皮質にある「共感性」の領域です。
「人が傷つくことは言わない」「誰かが悲しむと自分もつらい」等の思いやりのこころです。
幼児は、時には残酷な言葉を吐きます。残酷な行為もします。それはこの部分が未発達だからです。

② 背外側部にある「意思決定」の領域です。
「損得勘定で物事を意思決定する」「感情にとらわれずに判断する」。冷たい人間と言われるのはこどもより大人にはるかに多いでしょう。

③ 上側頭部にある「社会性」の領域です。
「周りの空気を読んで自らの行動をきめる」。これが極端にできない場合、最近では「KY」と蔑視する人もいます。「社会性」は男性よりも女性のほうが早いことが分かっています。女の子は幼稚園の年少さんの頃から「ウソ」をつき始めます。空気を読めないのは男の子の方が多いようです。NHK朝ドラマ「まれ」の双子の子たちもそのように描かれていますね。

○ 子どもの「ウソ」(作話)や反抗期に悩まされているご家庭は多いのです。どの家庭でも、子どもと大人の「文化の衝突」が起きやすくなっている時代です。子どもは、家庭内社会と学校社会や友だち社会の価値観の違いに高学年にもなると気づいてきます。「この子一人で大丈夫かしら」「我が子は未だ養護が必要です」「私たちが生んで育ててきたのだから一番分かっている」とご両親。
 子どもは、「よし」と、ちょっぴり広い社会での自分の価値観をつくって行動しても、家に戻ると再び家の価値観に引き戻されてしまう。子どもの「ウソ」(作話)や反抗期はその葛藤の現れだそうです。たまに反抗期のない子どももいるそうです。「共感性」の機能が発達したやさしい子なのでしょうが、それはそれで心配です。我が娘の場合、大学を卒業し銀行に就職してから反抗期があり、父親としてほっとしたことを覚えております。

○ 中野先生は、「『ウソ』や反抗期は、脳の発達段階のサインと思って接して欲しい」と言います。様々な価値観に触れることが脳の発達を促すことになります。若年期に複数の価値観の中で過ごすことで脳の発達が促されると言います。英国のパブリック・スクールでの寮生活は一つの好例です。祖父母も含めた大家族での生活、教会の日曜学校、地域の少年スポーツクラブ、年齢や職種を越えたボランティア活動、留学等で「社会性」「適応性」「判断力」が高められる例はよく聞きます。先述の①~③の脳の発達を促すには、基本的な生活習慣の確立が重要です。「早寝・早起き・朝ごはん」。しっかり食べて寝ること。加えて健全な刺激を与えること。豊かな「コミュニケーション」です。我が子への対処の参考にしてみてください。