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  福岡海星女子学院高等学校 福岡海星女子学院附属小学校 福岡海星女子学院マリア幼稚園  

【小学校の校長室から】平成25年7月1日 校長 山田 耕司

バスチャンの伝承           
 ~「信徒発見」を可能にしたもの~
  
○ 富士山が日本で17番目の世界遺産に登録されました。日本中が大喜びです。私は、6月21日長崎純心女子大学教授Sr.片岡姉妹のご案内で長崎市外海地区の臨地研究に参りました。                        長崎では、2015年に「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の世界遺産登録を目指して運動を展開しています。長崎におけるキリスト教の歴史「キリスト教の伝来と繁栄、弾圧と潜伏、復活・信仰の継続」がその内容です。これらの中には、本校6年生の修学旅行コースに含まれるものがあります。長崎市外海地区の「出津教会と関連遺跡」、大浦天主堂、日野江城跡、原城跡です。この遺産を価値づけるKEY WORDは、世界的奇跡と言われる「信徒発見」を導いた「バスチャンの伝承」です。バスチャン(ポルトガル語セバスチャン)は外海地区の日本人の伝道士です。1644年小西マンショ神父(小西行長の孫)の殉教を最後に日本に居住する神父は皆無になります。その後、神父(司祭)に代わって伝道士や信徒が司牧や宣教に勤めることになります。                             
○ 長崎の外海地区は、日本のキリスト教発祥の地と言われます。259年間の弾圧と潜伏(江戸~明治初期)を経験してきたキリシタン(ポルトガル語でキリスト教徒)の里です。この地は、キリシタン大名であった大村藩領、佐賀藩の飛地で、天領(浦上渕村・浦上山里村・長崎村)に接していました。その殆どが西彼杵半島の丘陵地で、領民はさつまいも栽培といわし漁で、生計を立てていました。年貢(租税)収入の大変少ない過疎地・荒地でした。長崎からは海路を使いました。                  

○ 鎖国が終わり長崎が開港されますと、英・仏・露・蘭・米の領事・商人・船員に伴い中国や沖縄で宣教の準備をしていました宣教師たちが来日します。バスチャンの伝承を信じ、コンヘソーロ(告白を聴く神父)を待っていた浦上の信徒が、イギリス寺に続いてフランス寺(大浦天主堂)を訪れます。一人の婦人が近づき、「ここにおります私共は皆あなた様と同じ心です。」「サンタ・マリアのご像は何処?」とプチジャン神父に尋ねます。                             
○ 外海地区では、キリシタン禁制時代にも信仰が守られてきました。それは250年間、基本的な信仰は修復する必要がないほどに純粋に保たれていました。そのこと自体が神の恵みであり奇跡ですが、その背景に辺鄙な地理的条件と共に、日本人伝道士バスチャンの存在があります。
 バスチャンが残したものに「バスチャンの日繰り」(教会ごよみ)があります。外海・浦上・五島(18世紀末外海より公式移住)の潜伏キリシタンは、この日繰りを下に、クリスマス・四旬節・イースター等の年間行事を維持しました。これが、信仰継承の原動力でした。                         
 もう一つに「バスチャンの伝承」があります。バスチャンは処刑される前に、4つの予言をしたと言います。 ① あなたたちを7代までは、わが子とみなすが、それから 後はアニマ(ラテン語で霊魂)の助かりが困難になる。   
② コンヘソーロ(聴罪司祭)が大きな黒船に乗ってやって来る。毎週でもコンヒソン(罪の告解)が出来る。(*当時は数年に1回のコンヘソーロの来村を心待ちにしていた。)
③ どこでも大声でキリシタンの歌を歌って歩ける時代がやって来る。                   ④ 道でゼンチョ(ポルトガル語で異教徒)に出会うと、先方が道を譲るようになる。                                    
○ 潜伏キリシタンたちは、この4つの予言を大切に抱きながら、潜伏組織(帳方-水方-聞役-信徒)を作り、7代250年待ち続けました。そして、不思議なことですが、7世代目に当たる幕末に神父が来て、大浦天主堂が建てられます。また、バスチャンは、予言したコンヘソーロを識別するために、3つの条件を残しています。
①サンタ・マリアを崇敬していること。
②独身であること。
③ローマ教皇に従うものであること。
予言は当たりました。潜伏キリシタンは、浦上だけでなく、あちこちの村(平戸・生月島・外海・五島・筑後今村)に居りましたから、浦上の密使がそこに飛んで、「バスチャン様の予言通り、ローマのパッパ様のお使いの神父様が、サンタ・マリアの黒船に乗って、長崎へ来たぞ、大浦のフランス寺に拝みに来い」と、報せました。                    
○ 「富の向こうにある尊いもの」を一途に信じ、辺鄙な村で寡黙な生活を愛したキリシタンに、6月23日沖縄慰霊の日読まれた与那国島小学1年生安里くんの「へいわってすてきだね」の詩を重ねています。こどものための真の育ちとは、真の教育とは。人は「愛をもって真理にむかう」ものです。