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  福岡海星女子学院高等学校 福岡海星女子学院附属小学校 福岡海星女子学院マリア幼稚園  

【小学校の校長室から】平成25年3月1日 校長 山田 耕司

「予測不能な社会」で生きる


○ 3月11日、本校では東日本大震災と福島原発事故を想い、祈り続ける日「祈念日」としています。この日以来、日本では今までの生活様式を見直し、自然の力を再認識し、予測不能な社会で「生き抜く力」を求めるようになりました。原子力発電を使えないのなら、その対応を電力会社だけではなく利用者である国民も電力料金の負担や使用料の調節など努めねばなりません。一方で隣国の工業発展に伴い大量の空気汚染物の降塵や核実験も心配されます。日本は日本を巡る社会環境は大変厳しくなりました。
○ 古い話になります。ミレニアムの前年、1999年9月に当時ロンドン日本人学校の校長をしておりました私の再三の願いを文部省が聞き入れてくれまして、時の文部大臣有馬 朗人先生(科学者・俳人・元東大総長)の学校訪問が実現しました。原子物理学者である先生は英国にも親交を温めておられる学者たちがおられ、度々訪英をされていました。そして、小学校5年生~中学校3年生の児童生徒を前に講話をして頂きました。

○ 「あなたたちが活躍を期待されている21世紀は、予測不能な社会です。どんな状況になっても生き抜いていける力が人々に求められます。英国で暮らしてお分かりのように、所謂学力だけでは不十分です。そのリーダーとして期待されるあなた方は、人一倍そのことを胸に刻んでこれからも精進することが大切です。」と。IRAの爆弾テロにより、学校周辺が騒然とする中、粛々と授業が進められ児童生徒の安全が確保された体験(学校近くの鉄橋下に爆弾がしかけられた事件)をもつ生徒たちは、大変敏感に有馬先生の講話を受け止めました。
10数年後、本当に、あらゆる予測を超える厳しい社会が訪れました。

○英国の学校との学校交流を通して、英国の教育のよさも知っています。旧植民地等の人々を多く移民として受け入れました英国は階級社会と言われますが、英国のパブリックスクールのよき伝統が一般の学校教育にも生きています。それは、NOBLESSE OBLIGE=仏語「高い身分に伴う義務。名誉を重んじ慈善に励むこと」。聖書のタラントの例え(マタイ25・14~30)にありますように、自分に神から与えられたタレント(能力・資質)を何倍にもして人々や神にお返しをする。リーダーとして人々の先頭に立って善を行うことをよしとしています。王族を始め彼らは、戦いの場合は先頭に立ち小隊を導きます。これを騎士道、武士道と言います。正義のため、人々のために尽くすのです。パブリックスクールの文武両道の目指すもの、その真意はここにあります。そこには、自己中心性はありません。「学力」のみあっても生き抜いていくことはできない、自分の利益だけを求めては生きることはできない。海外で生活する生徒は身に染みて知っております。

○ 「学力の保障」「いじめ」「体罰」「少子化」「発達障害とインクルーシブ教育」……課題山積の国内の教育。多くの子どもたちが遊びに夢中になって遊びに逃避して、やるべきことをやらない。ぼくだけではないと、仲間を捜して安堵感をもとうとする。きついからしない。勉強(進学対策)は塾だけで十分。どうせ分からないからと投げやりになる。これでは生き抜く力はなかなか育ちません。

○ 「啐啄同時」。鶏の卵がかえる時、殻の中で雛がつつく音、その時母鶏が殻をかみ破ります。子どもの意欲と教師の指導の彼我の間合いが子どもに生き抜く力を育みます。
学校行事や学年行事に目標をもって積極的に参加することの大切さ。先生の教えに素直に従うことの大切さ。自分たちでよいクラスを作ろうとするエネルギー。学校での縦割り活動を体験。よきサマリア人のたとえのように、困っている人や弱い立場の人に手を差しのべてほしいのです。うそや弱いものいじめは言語道断です。進学進級を控え、親子で問うてください。今の自分で、本当にいいのですか。正しいのですか。誰もいないと思っていても神様は見ていらっしゃいます。