福岡海星女子学院高等学校 福岡海星女子学院附属小学校 福岡海星女子学院マリア幼稚園  

【小学校の校長室から】平成24年9月1日 校長 山田 耕司

子育て

○ 新学期のスタートです。
 キリスト教学校の共通の課題は、ミッションスクールが本来の建学の精神「神の福音」を広く人々に伝えることを疎かにし、世間から単に有名中高一貫校や大学への進学実績や将来の社会的地位や出世への最短コースとしてのみ期待されるとすれば、今一度創立の精神に戻って、世間の価値観・学校観・教育観や風評によって本来の霊的な輝きをかき消されないように細心の注意を払い努力をすべく取り組むことです。
このことは、同時に日本の子育ての現状にも見直しが求められることと重なります。そこで外国の子育ての様子を参考までに見てみましょう。
○ アメリカの南部シャーロットの日本人補習授業校(現地の日本人会が設立した私立学校。小学生と中学生が土曜日に通い国語教育と日本文化行事にふれる。校長は文部科学省が日本の現職教員退職校長等を派遣)で校長をする友人からの便りから紹介します。
外国での子育ての苦労・工夫の中に、私たちは学びたいことがあります。

アメリカでの子育ては楽か?

● アメリカでアメリカ人のコミュニティーの中で日本人母が、子どもを育てていくには日本と違った点が多い。補習校に通う母親たちに感想を聞いてみると以下のとおりであった。

Qあなたが アメリカで子育てをして良い点は?
・子どもとの時間がたっぷりとある。
・自由でのんびりして、気楽である。
・家族との密度が濃くなる。
・親同士の付き合いがなくてよい。
・人に合わせる必要がない。
・人々がフレンドリーである。
・失敗を恐れなくなった。ポジティブに生きる
・子どもに親切な人が多い。
・英語が習得できる。・・・・等々

「親同士の付き合いで苦労が絶えない」等日本と違って、アメリカでの子育てにはプラス面が多く挙げられた。隣近所の噂等を気にしながら「自分の子どもは大丈夫だろうか」と悩む日本の親のような人は少ないといえる。

● しかし、アメリカ人の貧富の格差は大きい。子どもの学校を選ぶにも居住地から考えて行くのが普通である。アメリカでは公立学校に行くのは所得が低い家庭の子弟となっていて、比較的生活が豊かで意識のある家庭では「私立学校」か「教会付属学校」に子どもを通わせる。シャーロットには教会付属の学校が多い。また学校に行かず「ホームスクール」で親が教えても卒業認定される制度もある。一般的に公立学校の先生への信頼度は日本ほど高くはなく、先生の給与も1年を通して8カ月分しか支給されず、夏休み3カ月は先生もアルバイトをしなくては生活が苦しい。これを考えると総じて子育てで良い面と、そうでない面も多くあるのがアメリカの教育の実態だ。
*シャーロットは、ノースカロライナ州の人口70余万人のアメリカを代表する金融都市です。

○ 因みに英国に住む私の次男家族は、娘(2歳)の将来を考えて、ロンドンの若者の街カムデンから郊外のバッキンガムシャー県チェシャムに転居しました。将来カトリック教会の附属学校に入学させるためです。英国では、子どもの教育環境を求めて転居する家族は珍しくありません。親の人生観・家族観や教育観がしっかりしている家庭にその傾向が見られるそうです。

○ 家庭教育と社会教育(学校・地域社会)のそれぞれが子育ての両輪です。偏重することなく個に応じたバランス感覚が大切です。兄弟姉妹でも一様ではありません。ましてや同級生同世代との均一化や競いの風潮に乗ることは、子ども本人にとって苦痛でしょう。   
そして、子育てを大切にするとは、他者をもまたわが子の如く尊重することですね。