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【小学校の校長室から】第14号 平成23年11月15日 副校長 高木 義則

マラソン大会・教育懇談会 から

 12日の土曜日には、マラソン大会が実施されました。前日まで小雨模様お天気で心配していましたが、当日は絶好のスポーツ日和。朝から子ども達の意気込みが伝わってきます。この日本の伝統的な学校行事は、安全面での問題もあり、今はほとんどの学校で実施できなくなっています。でも、本校では広い学院敷地を活用して、修道院・高校のご理解・協力のもと、あのように自然いっぱいで起伏に富んだコースで実施できています。子ども達の体力の低下を防ぐ意味でも、とても貴重な行事の一つであると捉えています。長距離走の得意な子の自己表現の場としてはもとより、すこし苦手な子にとっても頑張る姿を認めてもらえる場になればと考え、一昨年より、スピード賞と、目標タイム賞の二つの賞を設定しています。
 
 走競技では順位がある程度確定すると、あきらめてしまう子の姿が気になるものですが、当日は、順位に関係なく自分の目標に向かって頑張る姿、そして、顔を紅潮させ、息を弾ませながらゴールする子ども達の姿をたくさん見ることができました。大会後は昨年に引き続き父母の会から全員の子に、甘くてとてもおいしい「ぜんざい」をいただきました。全力を出して走った後の「ぜんざい」は子ども達にとってもとても楽しみなことのようです。「おいしい」と笑顔で食べていたと先生方から聞きました。
 マラソン大会で思い出すのが、教師になったばかりの頃に3年生の担任として出会ったT君のことです。T君は、大会前の日曜日、一人で運動場を走っていました。見ていると、1周走るごとにトラックのすぐ外に並べた石をチョンと蹴っています。彼は自分で毎日トラックを10周することを決め、その数を間違わぬよう、初めに10個の石を並べていたようです。回数を間違わないようにするように、私は別の方法を教えたのですが、それではバランスがとりにくかった彼は、この方法を自分で考えたようです。実は、彼は所謂サリドマイドの被害で身体的にハンデを持った子でした。左腕は肘から下がなく義手で、利き腕の右手の指も五本とも途中から欠損していました。しかし、そんなハンデを感じさせる暗さの全くない子で、学習にもスポーツにも本当に一生懸命に取り組む子でした。この子のお母様はとても聡明な感じの凛とした方でした。1学期末の個人懇談の折、「どんなことでも他の子と同じようにやらせてください。縄跳びの時は、申し訳ないですがロープの片側を左手は義手に結んでやってください。」とのご依頼を受けました。「でも、水泳だけは勘弁してください。肘から下のないあの子の姿を友達に・・・」そして、「わたしの不注意で、あの子に、あんなハンデを・・・」と私をまっすぐに見つめ、ただ涙をこぼされました。その時、私がすごいと感じたT君の日々の姿の源泉はこのお母様にあるのだな、と強く感じました。このお母様のちょっと厳しすぎると感じていた学校での姿と、違う姿が家庭にあることも確信しました。ご自身の悲しみ・苦しみをわが子の前ではけっして見せず、T君がハンデに負けない子にと共に強く生きおられることを知り、感銘を受けました。
 12日はマラソン大会後、第3回教育懇談会も「子どもとの向かい合い方」のテーマのもと実施されました。教職員6名を含む33名の参加者が6グループに分かれて、ほめ方・叱り方を中心に日頃悩んでいることを出し合い聴き合いました。どのグループも熱心に、でも笑顔と笑いがいっぱいでした。現代は社会環境・自然環境が数十年前とは大きく異なり、子育ての大変な時代といわれています。しかし、どんな時代にあっても、子どもは親である自分とは別な命であることの認識と、共に成長していこうとする想いさえあれば、そんなに心配ないと信じています。グループの聴き合いには、あのT君と母親のことを思い出しながら、私自身が二人の娘の父親として体験した子育ての楽しさを思いながら、私も笑顔で参加させていただきました。
 あのT君のようにたとえハンデを持っていても、それを工夫と努力によって乗り越えようとしている姿、私達に生きる勇気と力を与えてくれます。それはT君のように、私たちの努力する姿とは多少違うこともあります。11月30日にはクリスマスコンサートが行われます。今年はJOY倶楽部の演奏の鑑賞をします。このJOY倶楽部は少しハンデを持っている青年達のプロの楽団です。長い努力の結果の音と大きく体を使って演奏する姿が感動を与えてくれます。どうぞお申し込みの上、ご参加ください。そして、本校の子ども達には、自分たちと少し違う動きで楽しそうに演奏する青年達の姿の中に、努力することの素晴らしさを感じられる子ども達であってほしいと願っています。