福岡海星女子学院高等学校 福岡海星女子学院附属小学校 福岡海星女子学院マリア幼稚園  

【小学校の校長室から】第12号 平成23年10月17日 副校長 高木義則

  農村宿泊体験学習 Ⅱ
農村宿泊体験学習も今年で二回目となります。私もこの行事に少し慣れ、昨年より細かな点が見え、また、いろいろな方の話を聞くこともできました。本校のこの行事のため、うきは市役所の方と受入家庭・地域との話し合いだけでも7度行われたそうです。この他にもそれぞれの活動ごとに本当に多くの方々の話し合いがなされたようです。感謝にたえません。そんな多くの方々の好意と努力に支えられたこの行事を昨年より少し詳しくお知らせします。
<一日目>
予定通りの時間10時30分にJAにじ耳納の里に到着。開会式後、早速サツマイモと落花生の収穫体験。さつまいもは少し時期が早かったようですが、落花生が大収穫。JAの職員の方10名ほどの指導を受けながら、取り残しがないよう丁寧に畑の中の落花生を収穫しました。取り残すとカラスの餌になり、他の畑まで荒らされるそうです。
JAのご婦人がた(通称新鮮組)の手作りのとてもおいしいおむすびとトン汁の昼食の後、午後は二グループに分かれ、吉井町白壁土蔵造り町並みの見学です。それぞれ専門のガイドの方に案内いただき、古い町並みと屋敷を見て回りました。子ども達は古い大きな屋敷の中に上がり大喜びでした。深い井戸もあり、多くの子が興味深げに覗いていました。落下防止の柵がありましたが、水筒を落とした子がいたそうです。どうなるかと心配していましたが、係の方がすくい上げてくださったそうです。この日の閉会式では、子ども達からJAの方に鋭い質問が次々と。最後には、お世話をしてくださった皆さんの「年齢は?」の質問にちょっとびっくり、でもみなさん笑顔で答えてくださいました。
姫治地区に移動後「四季の舎ながいわ」で入浴。その後対面式。うきは市教育長さんも駆けつけてくださりご挨拶がありました。お迎えに来られていた受入家庭の方々は、皆さん笑顔でとても楽しい自己紹介をされました。お迎えの車に乗り込む子ども達は、少し緊張気味の顔も見えましたが、みんな元気でそれぞれの家庭へと向かいます。
子ども達を見送った後、引率の3名(高木、福永、松本)は、宿舎の「民宿馬場」に移動。ここは三日目の活動の場となりますが、驚いたことにそうめん流しの準備がもう始まっていました。民宿から河原への斜面には10メートル近い竹を5本つないだ、長いなが~いソーメン流しの台が、今年も準備されていました。
荷物を宿に置き、早速ご挨拶と子ども達の様子を見るため受入家庭を訪問しました。市役所の中山さんと熊谷さんの運転する2台の車に分乗しての訪問です。このお二人とJAの松本さんには、3日間、最初から最後まで常に行動を共にしていただきました。写真屋さんを含め総勢7名のドライブでしたが、真っ暗な細い道を走り続け、途中で山道を横切る6頭のイノシシとも出合いました。
各家庭での様子を少し心配しながらの訪問でしたが、子ども達は本当に元気いっぱいでした。玄関に出て来ての第一声が「チョー楽しい!」だったり、ブルーベリー刈りへ行ったと嬉しそうに収穫したブルーベリーを見せる子、赤ちゃんを抱いた小さな子と姉妹のようですっかり大家族の一員となっている子がいたり、炭火で大きな肉を焼くのを手伝っている子、「おやすみなさい」を連発し私達に早く帰って欲しいようなそぶりの子がいたり、暗い縁側に肩を寄せ合い座り、竹製の行燈の仄かな灯りをじっと見つめる男の子達の姿も印象的でした。
「本当にいい子達で!」「こちらが楽しい想いをさせていただいています。」との受入家庭の方々の笑顔と言葉が心に沁みます。結局、宿舎の民宿にもどったのは2時間以上たった8時半過ぎでしたが、私たちも夕食で地元の野菜どっさりのおいしい料理をたくさんいただきました。
<二日目>
朝食の後、二日目の活動の拠点、「つづら山荘」へ。8時前なのにもう7名の市の職員の方が集まっています。最初の活動森林セラピーには専門のガイドさん4名を含め、さらに10名の補助の方々が。「つづら棚田」を眼下にしながら森林セラピーを味わいました。
カレーライス作りには農家のご婦人方がさらに10数名駆けつけてくださいます。この時点で、いったい何人の人々が本校のこの行事に関わってくださっているのか、数え切れなくなりました。カレーは4つの班がそれぞれルーの種類と具材を自分達で選びます。具材には地元の豊かな食材が並びます。ブランド豚肉、人参、しいたけ、おくら、ピーマン、冬瓜、なす、玉ねぎ、じゃがいも、等々。地元のお母さんと一緒に野菜を切りながら笑顔で内緒話をする子、何かカレー作りの秘伝を伝授されているのでしょうか。調理に奮闘する男子の姿も見えます。一生懸命火の番をする男子。こちらは地元のお父さんの指導を受けながらの挑戦です。そして、釜のふたを開けた時の嬉しそうな顔。「アア、いい香り!」の声も聞こえてきます。そして、羽釜で炊き上げたご飯のおいしかったこと。
私は手伝った1班の子達の辛口カレーをまず試食。とてもおいしかったのですが、子ども達には3班の甘口が人気だったようです。この行事に参加した農林水産省の調査官の方は、4種類全部食べたとか。デザートには地元の葡萄4種類がテーブルに。めったに見ない皮ごと食べられる「ゴールデンフィンガー」「ロザリオビアンコ」が大人気でした。カレーでお腹いっぱいのはずなのに、また、たくさんいただきました。後片付けにも子ども達は本当によく動きます。特に釜洗いには必死。キャンプでの体験が生きているようですが、ピカピカになるまでと頑張り続ける姿に、応援の人々から感嘆の声が。
彼岸花の残る棚田で稲刈り体験、気温の低い棚田での稲刈りはもうどこも終わっていましたが、子ども達のために一箇所だけ残していただいていました。「全部は大変だから無理しなくいいよ。」と農家の方の声。でも、ここでも子ども達は汗をかきながら一生懸命、1時間もたたないうちに全部刈り終えました。刈った稲の下に、たくさんの赤腹イモリを見つけ、追っかけまわす子。平気で手の上に乗せ、職員の方に見せる子もいて、みなさんとても感心していました。さすが、海星の自然で鍛えられた子たちです。コンバインで裁断した藁屑を田に撒く作業のお手伝いも。田を走りまわり、藁屑を投げ合って遊ぶ姿、とてもお手伝いしているようには見えません。でも、職員・地域の皆さんは温かい目で見守ってくださいました。
「四季の舎ながいわ」で入浴の後、それぞれの家庭のお迎えを待ちます。すっかり仲良くなった市の職員の方とも楽しく会話しています。子ども達とすっかり仲良くなったうきは市の若い女性職員の方から「楽しい!明日も来たい。」の声。明日の活動にはまた、新しい方の応援があるようです。
<三日目>
朝からあいにくの雨、それでも早朝から昨日と違う顔もたくさん集まり、ソーメン流しと竹細工の準備をしてくださっています。ぬかるんだ斜面には大きなすのこを何枚も敷き、竹細工とソーメン流しの場所には子ども達が作業しやすいようにとシートを敷き、テントを立ててくださっています。
8班に分かれての竹細工は、ソーメン流し用のお椀と箸作り、そして、けん玉作りです。それぞれの班に2・3名の補助の方がついて、ナイフの使い方を丁寧に指導してくださいます。黙々と竹を削る子ども達、とてもかわいらしく、ちょっと頼もしく見えました。子ども達が作業している間に農家のご婦人がた手作りの新米のおむすびと地元の野菜を使った料理が次々と持ち寄られます。
いよいよ待ちに待ったソーメン流し。子ども達から歓声があがります。流れてくるソーメンをうまくすくえず苦戦する子、場所を移りながらたくさんすくおうとする子、そんな子ども達を笑顔で見つめる地元の方々。ソーメンとおむすびと野菜の煮物、今日もついつい食べ過ぎました。
退村式ではこの日も参加された農水省の方から、カレーのお礼にと「あまおう」のアイスクリームのプレゼントもいただきました。そして、たくさんの人に見送られてバスに。この行事を中心になって進めてくれた、うきは市役所農林観光課の若い中山さんの目には涙が。彼は教師希望だったと聞いていましたが、子ども好きのオーラが全開で子ども達にも大人気でした。同じ課の熊谷係長からは、姫治地区で交流しているのは海星小学校だけとのことで、関係者の代表で是非訪問をさせて欲しいとのお申し出もありました。お待ちしています。
帰りのバスの中では得意の俳句作り。豊かな自然の情景と、楽しい活動・交流が目に見えるような素敵な句がたくさんできたことでしょう。



TPPでゆれる日本の農業。
 食の原点は日本の農漁村にあることを子ども達に体験させる農林水産省と文部科学省の共同企画で始まった「農漁村宿泊体験」も、ゆとり教育の変更や日本経済の悪化で公立学校ではなかなか拡大しません。将来のリーダーに育てたい本校の子どもに大変貴重な教育活動だと考えています。 
    校長 山田耕司